本当に良いクリニック開業物件とは?理想の医療実現のための物件探し

やっぱり立地?将来を見据えて広さ?本当に良いクリニック開業物件とは

クリニック開業を考えたとき、多くの先生が最初に悩むのが「どこで開業するか」という問題です。
立地、広さ、賃料、競合状況——検討すべき要素は多く、「条件が良さそうな物件=良い物件」と考えてしまいがちです。

しかし実際には、“条件が良い”ことと“本当に良い開業物件”であることは、必ずしも一致しません。
本当に良い物件とは、先生が目指す医療を、無理なく・長く・安定して提供できる場所であることです。

本コラムでは、クリニック開業において「本当に良い物件」とは何か、その考え方を整理していきます。


「立地が良い=成功する」とは限らない

駅前、ロードサイド、医療モール内——
いわゆる“人気立地”は、集患しやすいというメリットがあります。一方で、以下のようなリスクも抱えています。

  • 賃料や共益費が高く、固定費負担が大きい
  • 同一診療科が近隣に集中し、差別化が難しい
  • 患者数は多いが、診療の質を保ちにくい

重要なのは、「人が多い場所」ではなく、
**「自院が選ばれる理由をつくれる場所かどうか」**です。

診療方針や対象患者層によって、最適な立地は大きく変わります。


理想の医療から逆算する物件選び

物件探しでまず考えるべきなのは、
「どんなクリニックをつくりたいか」というビジョンです。

例えば、

  • 丁寧な説明と十分な診察時間を大切にしたい
  • 子どもや高齢者が通いやすいクリニックにしたい
  • 予約制で落ち着いた診療を行いたい
  • 地域に根ざし、長く通ってもらえる医院にしたい

こうした理想によって、必要な物件条件はまったく異なります。

✔ 駐車場は必要か
✔ バリアフリー動線は確保できるか
✔ 待合室・診察室の広さは十分か
✔ 内装の自由度はあるか

物件は「経営条件」だけでなく、「医療の質」に直結する要素であることを忘れてはいけません。


見落とされがちな「物件の本質」

良い物件かどうかを判断する際、表面条件だけでなく、次の点も重要です。

1. 建物・オーナーの柔軟性

  • 医療用途への理解があるか
  • 内装工事や将来的な改修に制限はないか

長期運営を考えると、オーナーとの相性も見逃せないポイントです。

2. 周辺環境と患者導線

  • 実際にどんな人が、どの時間帯に通行しているか
  • 生活動線の中に自然に組み込まれているか

数字だけでは分からない「現地の空気感」は、必ず確認すべきです。

3. 将来性

  • 周辺人口の増減
  • 再開発や競合出店の可能性

開業時だけでなく、5年後・10年後を見据えた視点が求められます。


「良い物件」は、単独では見つからない

実は、本当に良い開業物件は
「物件情報」だけを見ていても見つかりません。

診療圏分析、資金計画、診療コンセプト、内装設計——
これらが一体となって初めて、「その先生にとって良い物件かどうか」が判断できます。

つまり、

良い物件 = 先生の理想 × 経営バランス × 地域特性
が噛み合った結果

なのです。


まとめ:物件は「場所」ではなく「医療の土台」

クリニック開業における物件は、単なる箱ではありません。
それは、先生の医療理念を形にし、患者さんとの関係を育てていく土台です。

条件の良さだけにとらわれず、
「この場所で、自分はどんな医療を続けていきたいのか」

その問いに正直に向き合うことが、
本当に良い開業物件と出会うための、最も確かな近道と言えるでしょう。

伊藤昌弘

伊藤昌弘 (株式会社メディプラン 取締役)

株式会社メディプランにて医院開業、医院継承をサポート。豊富な経験を活かし、開業を検討している医師、医院承継案件を行っています。