医療モールには「単独開業」にはない集患効果があります
クリニックの開業場所を検討するとき、
「駅前の単独テナントにするか」
「医療モールの中に入るか」
で迷われる先生は少なくありません。
医療モールには、同じ建物や同じ敷地内に複数の診療科が集まることで生まれる、さまざまな相乗効果があります。
その中でも大きいのが、
「他科を受診している患者さんも、自院の潜在的な患者さんになる」
という点です。
総合病院では、患者さんが一つの診療科だけを受診するとは限りません。
内科に通っている患者さんが整形外科を受診したり、耳鼻科の患者さんが皮膚科を受診したり、精神科の患者さんが内科的な相談を必要としたりすることがあります。
医療モールでも同じように、診療科が複数集まることで、モール内を行き来する患者さんそのものが、新たな患者層になり得ます。
他科の患者さんが「将来の患者さん」になる
例えば、
内科・皮膚科・整形外科・小児科・耳鼻科などが入居している医療モールを考えてみます。
ある患者さんが最初に内科を受診したとしても、その患者さん本人や家族が、
「そういえばこの前、ここに皮膚科もあった」
「子どもが体調を崩したら、同じところの小児科に行こう」
「膝が痛くなったら、ここの整形外科を受診しよう」
と考える可能性があります。
つまり医療モールでは、他科への来院そのものが、自院を知ってもらう機会になります。
単独で開業しているクリニックの場合、患者さんにまず自院の存在を知ってもらわなければなりません。
一方、医療モールでは、別の目的で来院した患者さんにも自然にクリニック名や診療科を認識してもらえるため、将来的な受診につながる可能性があります。
「クリニック単体」ではなく「医療モール全体」で認知される
新規開業で大きな課題になるのが、クリニックの認知です。
どれだけ良い医療を提供できる先生でも、
地域の患者さんに存在を知られていなければ、受診にはつながりません。
医療モールの場合、
「○○駅前の医療モール」
「スーパーの隣にあるクリニックが集まっているところ」
「○○メディカルビル」
といった形で、建物そのものが地域で認知されることがあります。
さらに複数のクリニックがそれぞれホームページや広告、看板などで所在地を案内するため、結果として医療モールそのものの認知度も上がっていきます。
これは非常に大きなメリットです。
一つのクリニックだけで地域に認知を広げるのではなく、複数のクリニックが集まることで、モール全体として患者さんを呼び込むことができるからです。
他科から患者さんを紹介してもらいやすい
医療モールのもう一つの大きなメリットが、診療科同士の連携のしやすさです。
例えば内科を受診した患者さんに皮膚症状があれば、
「同じ建物に皮膚科がありますので、一度相談してみてください」
と案内することができます。
整形外科の患者さんに高血圧などの内科的な問題が見つかれば、同じモール内の内科へ紹介することもできます。
また、
- 内科から心療内科・精神科
- 小児科から耳鼻科
- 内科から眼科
- 整形外科から内科
- 婦人科から内科
- 皮膚科からアレルギー科
など、診療科の組み合わせによってさまざまな患者紹介が考えられます。
もちろん、患者さん自身が受診先を選択することが前提ですが、医師同士がお互いの診療内容を理解していることで、必要な患者さんを適切な診療科につなぎやすくなります。
これは患者さんにとっても大きなメリットです。
「別の病院を探す」という患者さんの手間を減らせる
患者さんにとって、複数の診療科が近くに集まっていることは非常に便利です。
別の診療科を受診する必要が出た場合、
「どこの病院に行けばいいのか」
「場所はどこなのか」
「駐車場はあるのか」
「駅から遠くないか」
といったことを一から調べる必要があります。
しかし同じ医療モールの中に適切な診療科があれば、患者さんは移動の負担を大きく減らすことができます。
特に、
高齢者、子ども連れの家族、複数の疾患を抱える患者さん
にとって、複数の診療科を一か所で受診できる利便性は大きな魅力になります。
この「患者さんにとって便利」ということ自体が、医療モールを選んでもらう理由になります。
家族単位で医療モールを利用してもらえる可能性もある
医療モールでは、一人の患者さんだけではなく、その家族全体との接点が生まれやすいことも特徴です。
例えば子どもが小児科を受診した際に、保護者が同じモールの内科や皮膚科の存在を知ることがあります。
反対に、親が内科を受診したことをきっかけに、
「ここには小児科もある」
と知り、今度は子どもを連れてくるかもしれません。
このように、
患者一人との接点が、家族全体への認知につながる
ことも医療モールならではの強みです。
住宅地やファミリー層の多いエリアでは、特にこうした効果が期待できます。
調剤薬局との相乗効果も期待できる
医療モールには、調剤薬局が併設されているケースも多くあります。
患者さんから見れば、
診察を受ける → 処方箋を受け取る → 近くの薬局で薬を受け取る
という一連の流れを短い動線で完結できるため、利便性が高まります。
複数の診療科があることで薬局側も安定した利用が見込まれやすく、モール全体として「医療を受けやすい場所」という認知につながっていきます。
また、薬局から各クリニックの場所を尋ねられることもあるため、患者さんにとって分かりやすい医療拠点を形成しやすくなります。
共通の駐車場やアクセスの良さも集患につながる
郊外型の医療モールであれば、広い共用駐車場を確保できるケースがあります。
都市部であれば、駅直結や駅徒歩数分など、公共交通機関からのアクセスを重視した医療モールもあります。
こうした立地上の利便性を、
一つのクリニックだけではなく、モール全体で共有できる
のもメリットです。
特に駐車場については、単独開業では十分な台数を確保することが難しい場合があります。
医療モールであれば、他のクリニックや商業施設と駐車場を共有することで、単独では実現しにくい利便性を確保できることがあります。
開業直後から「人が来る場所」でスタートできる
新規開業では、最初の数か月間にどれだけ患者さんを集められるかが非常に重要です。
医療モールの場合、先に開業しているクリニックがあれば、すでに一定の患者動線が形成されています。
そこに新しいクリニックが加わることで、
「新しく○○科ができたんだ」
と自然に認知してもらうことができます。
全く患者動線のない場所に単独で開業する場合と比較すると、開業当初から一定数の人に存在を知ってもらえることは大きなメリットです。
モールによっては、開業時に合同内覧会を行ったり、モール全体として広告や案内を行ったりするケースもあります。
そのため、開業時の認知形成をモール全体で行えることも、新規開業の先生にとって大きな魅力です。
医師同士の情報交換がしやすい
患者紹介だけではなく、医師同士が近い距離にいること自体もメリットになります。
診療上の相談だけでなく、
「最近この地域ではこういう患者さんが増えている」
「この検査についてはこの病院へ紹介している」
「この専門領域ならこの先生が詳しい」
といった地域医療に関する情報交換がしやすくなります。
単独開業では、どうしても院長が孤立しやすい面があります。
医療モールであれば、日常的に他科の医師と顔を合わせることで、自然な医療連携のネットワークを作りやすいというメリットがあります。
重要なのは「どの診療科が集まるか」
ただし、医療モールに入れば必ず成功するというわけではありません。
重要なのは、
「どの診療科と一緒に入居するのか」
という点です。
例えば、患者層が重なりやすく、相互紹介が期待できる診療科が集まれば、より大きなシナジーが期待できます。
一方で、患者層や診療時間帯がほとんど重ならない診療科ばかりでは、期待したほどの相乗効果が生まれない可能性もあります。
また、
- モール全体の立地
- 駅からの距離
- 駐車場
- 周辺人口
- 競合クリニック
- 各診療科の組み合わせ
- モール内の患者動線
- 看板の視認性
- 調剤薬局の配置
- 将来的なテナント構成
などを総合的に検討することが重要です。
医療モールは「クリニック同士が患者さんを呼び合う場所」
医療モールの最大の魅力は、単純にクリニックが集まっていることではありません。
他科の患者さんに自院を知ってもらう。
モール全体で地域から認知される。
必要な患者さんを他科へ紹介する。
他科から自院へ患者さんを紹介してもらう。
患者さんや家族が複数の診療科を利用する。
こうした流れが少しずつ積み重なることで、単独開業にはない集患効果が生まれます。
特に新規開業では、ゼロからクリニックの認知を作らなければならないため、すでに患者さんが訪れる医療モールに入居することは、開業初期の集患という面でも大きなメリットになり得ます。
メディプランコンサルでは、単に空いている医療モールをご紹介するだけではなく、
その診療科にとって本当に相乗効果が期待できるモールなのか、周辺の患者数や競合状況、既存診療科との組み合わせまで含めて開業候補地を検討します。
「単独開業と医療モールのどちらがよいか迷っている」
「この医療モールに入った場合、どの程度の患者数が期待できるのか」
「既存の診療科との相乗効果があるのか知りたい」
といった段階からでもご相談いただけます。
医療モールへの入居を検討する際には、賃料や立地だけではなく、**「そのモール全体が、自院の患者さんを増やしてくれる環境になっているか」**という視点から検討することが大切です。