新規開業よりリスクが低い?「事業承継開業」で既存患者とスタッフを引き継ぐポイント

クリニックを開業する際、ゼロから物件を探して内装を整える「新規開業」が一般的ですが、近年急速に注目を集めているのが既存のクリニックを引き継ぐ「事業承継(医院継承)開業」です。特に2026年に始まった医師偏在対策・開業規制の影響を受け、都市部や人気エリアでの新規開業のハードルが上がる中、承継開業は極めて現実的で賢い選択肢となっています。

今回は、事業承継開業のメリットと、患者様・スタッフ様をスムーズに引き継ぎ成功させるための具体的なポイントを解説します。

1. なぜ今、事業承継開業(医院継承)が選ばれるのか?

新規開業の場合、物件取得から内装工事、医療機器の導入、採用活動など多大な時間と費用がかかります。さらに開業後も「患者様が集まるか」「毎月赤字にならないか」という集患リスクが数年間続きます。

一方、事業承継開業には以下のような明確な強みがあります。

  • 開業初期からの安定した事業収入:初日から既存の患者様が来院されるため、早期に黒字化しやすい。
  • 初期投資(資金調達)の抑制:内装や医療機器をそのまま活用できる場合が多く、新規開業に比べ費用を大幅に抑えられる。
  • 経験豊富なスタッフの確保:採用難が続く医療業界において、クリニックの運用を熟知したスタッフと一緒にスタートできる。
  • 開業規制への対応:外来医師過多区域など新規開設のハードルが高いエリアでも、既存クリニックの継承であればスムーズにスタートできるケースが多い。

2. 「患者様」を逃さないための引き継ぎのポイント

事業承継で最も避けたいのが「前院長先生が退任した途端に患者様が他院へ離れてしまうこと」です。定着率を高めるためには、以下の事前準備が欠かせません。

① 十分な「重複診療・挨拶期間」を設ける

事業譲渡の数ヶ月前から、前院長先生と一緒に診療に入る期間を設けましょう。患者様に対して「来月からは〇〇先生が引き継ぎますのでご安心ください」と対面で紹介を受けることで、患者様の不安を大幅に軽減できます。

② 前院長の「診療方針」を急激に変えない

カルテの電子化や新しい診療メニューの導入、DX化を進めたい気持ちは山々ですが、引き継ぎ直後にすべてを一新すると患者様が戸惑います。まずは前院長の診療スタイルを尊重し、信頼関係が構築できてから徐々に新しい取り組みを導入していくのが鉄則です。

3. 「スタッフ」の離脱を防ぐ接し方と雇用契約

スタッフの離職は、クリニック運営に即座に打撃を与えます。「新しい院長になって厳しくなるのではないか」という不安を取り除く工夫が必要です。

  • 丁寧な個別面談の実施:引き継ぎ前に全スタッフと面談を行い、新しい体制への不安や希望をヒアリングします。
  • 労働条件・給与水準の原則維持:基本的には前院長時代の給与や勤務条件をベースにし、不安を与えない契約形態をとります。
  • 感謝とリスペクトを伝える:「今までこの地域でクリニックを支えてきてくれた存在」として敬意を持ち、一方的なルール変更の押し付けは避けましょう。

4. まとめ:事業承継を成功に導くために

事業承継開業は、新規開業に比べて「時間」「費用」「集患」の3大リスクを大幅に低減できる非常に魅力的な選択肢です。

しかし、単にクリニックの箱や設備を買い取るだけでなく、「地域における信頼」「患者様との絆」「スタッフとのチームワーク」という目に見えない資産を丁寧に引き継ぐことこそが、成功の絶対条件となります。

メディプランでは、北海道・札幌エリアを中心に、医院継承の条件交渉から契約手続、引き継ぎ期間のサポートまでワンストップでご支援しております。「承継案件を探したい」「新規開業と迷っている」という先生は、ぜひお気軽にご相談ください。

横川 洋秋

横川 洋秋 (株式会社メディプラン 医療連携部部長)

株式会社メディプランにて医院開業、医院継承をサポート。豊富な経験を活かし、開業を検討している医師、医院承継案件を行っています。