調剤薬局を閉めようか…と考えるとき-M&Aという選択肢

「このまま続けていくべきか、それとも閉めるべきか」

調剤薬局を経営していると、ふとそんな考えが頭をよぎる瞬間があります。
それは必ずしも、赤字や経営破綻が原因とは限りません。

  • 年齢や体力の問題
  • 後継者がいない
  • 将来の制度改定への不安
  • 医師との関係性の変化

理由は人それぞれですが、
“閉める”という言葉が現実味を帯びたとき、多くの経営者は一人で悩み始めます。


「閉局=失敗」ではない

まず知っておきたいのは、
閉局を考えること自体が、決して失敗ではないということです。

調剤薬局は、

  • 医療制度
  • 診療報酬
  • 地域医療の構造

と強く結びついた事業です。
どれだけ真面目に運営していても、
外部環境の変化によって判断を迫られることは珍しくありません。

「続けられない」のではなく、
「次の選択を考える時期に来ている」
そう捉えることもできます。


多くの方が最初に思い浮かべるのは「閉局」

実際、悩み始めたときに最初に浮かぶのは、

  • 廃業
  • 閉局
  • 店舗返却

といった選択肢であることがほとんどです。

しかしこの時点では、
「他にどんな選択肢があるのか」
十分に整理できていないケースが多く見られます。

その一つが、**M&A(事業譲渡)**です。


M&Aは「大きな薬局チェーンの話」ではない

M&Aという言葉に対して、

  • 大手同士の話
  • 規模が大きくないと無理
  • 手続きが難しそう

といった印象を持つ方も少なくありません。

ですが近年では、

  • 1店舗のみ
  • 個人経営
  • 小規模薬局

であっても、M&Aが成立するケースが増えています。

特に、

  • 立地が良い
  • 医療機関との関係性が安定している
  • スタッフが定着している

といった薬局は、
**「閉めるには惜しい存在」**として評価されることがあります。


閉局とM&Aの決定的な違い

閉局とM&Aの最大の違いは、
**「何が残るか」**です。

閉局の場合

  • のれん・関係性は消える
  • スタッフは解雇
  • 患者・医療機関への影響が大きい

M&Aの場合

  • 薬局機能を次に引き継げる
  • スタッフの雇用継続が期待できる
  • 医療機関・患者への影響を抑えられる

「自分が辞める」ことと、
「薬局を終わらせる」ことは、必ずしも同義ではありません。


M&Aを考え始める“ちょうどいいタイミング”

M&Aは、
切羽詰まってから考えるものではありません。

むしろ、

  • まだ体力・判断力に余裕がある
  • 経営が破綻していない
  • 選択肢を比較できる段階

で検討し始めるほうが、
結果として良い条件につながりやすい傾向があります。

「もう少し続けられるけれど、不安がある」
その段階こそが、実は最も冷静に判断できる時期です。


「誰に引き継ぐか」が何より大切

M&Aというと、価格や条件に目が行きがちですが、
多くの薬局経営者が実際に重視するのは、

  • スタッフを大切にしてくれるか
  • 医療機関との関係を壊さないか
  • 地域医療を軽視しないか

といった点です。

それは、
長年積み上げてきた薬局が
単なる“店舗”ではないからにほかなりません。


まとめ:「閉める」前に、知っておいてほしいこと

調剤薬局を閉めようかと考えたとき、
その選択肢が「閉局」しかないと思い込む必要はありません。

M&Aは、

  • これまでの努力を無駄にしない
  • 周囲への影響を最小限に抑える
  • 次の人生へ進むための整理

として、十分に現実的な選択肢です。

薬局を終わらせるか
薬局を託すか

その違いを知ったうえで、
自分にとって納得のいく判断をすることが大切です。

横川洋秋

横川洋秋 (株式会社メディプラン 営業部長)

株式会社メディプランにて医院開業、医院継承をサポート。豊富な経験を活かし、開業を検討している医師、医院承継案件を行っています。